上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
第二話です。いつもよりちょっと短め。

                 第二話 彼女の魅力


帰った僕は夕食の準備に取りかかる。
冷蔵庫からキュウリとトマトを出し、適当なサイズに切ってお皿に盛りつける。
次に豚肉、エリンギ、タマネギも食べやすいサイズに切る。炒めて、塩こしょうと焼き肉のタレで味付けすれば簡単肉野菜炒めの出来上がり。
一通り準備が終わり、コップに麦茶を入れていると階段からトントンと音がする。
着替えを済ましたルリ姉が降りてきたのだ。
夕食のメニューを見て、文句を言うルリ姉。
「あら?夕食これだけ~?もっと精のつく物食べさせなさいよね。」
「昨日、買い物忘れた人間が何言ってんだ。明日はちゃんと行ってくれよな。」
「ちぇ、分かったわよ。」
「ホラ、早く食べようぜ。」
「いっただきま~す!」
「いただきます。」
二人で手を合わあせ、食事を始める。
夕食の話題は大体ルリ姉の今日1日の出来事だが今日は違った。
「ねぇ、勇太。アンタ、瞳美といつ知り合ったの?」
「え?ああ、今日、図書室で偶然ね。ルリ姉こそ、有森さんといつから友達だったんだよ?」
「私は2年の時からクラスが一緒なのよ。」
「ふぅん……。」
ルリ姉と有森さんがそんな所で接点があるとは全く思わなかった。
なんせ、僕から言わせりゃルリ姉はがさつで傍若無人な弟をこき使うヒドい姉。
反対に、有森さんは優しくて気が利く美人なお姉さんっていう感じでルリ姉とは似ても似つかない。
そんな二人が親友とはある意味不思議だった。
まぁ、実際の人間関係だと性格が対照的な方がうまくいく場合もあるし、一概に言えない。
ルリ姉はそんな僕の考えを読んだのか僕に詰め寄ってきた。
「なによ、アンタ。私と瞳美じゃ似ても似つかぬとか思ってんじゃないでしょうね?」
図星だ。実際、その通りだし。
「えっ!あ、いや、そういうことじゃなくて、意外な組み合わせだなぁって思ってさ。」
「意外ぃ?」
「ほら、ルリ姉が言ってたように有森さんって、学校のマドンナ的存在だろ?そんな人とルリ姉が友達だったなんて知らなかったからさ。ハハハハ……。」
「ふぅん……。ま、いいわ。確かにアンタにとってはその通りだろうし。」
怪訝そうにしながらも納得したルリ姉はそのまま肉野菜炒めと一緒にご飯をかき込んだ。
追求をかわした僕としては冷や汗ものだったので、「助かった」という以外何物でもなかった。

夕食後、片付けが済んだ僕は部屋でベッドの上でボッーとしていた。
(有森さんか……。偶然とはいえ、あんな美人と知り合いになれたのはラッキーだったな……。)
僕は昼間の誠太郎の言葉を思い出した。
確かにちょっとしたきっかけで知り合いにはなれたが、問題はこれからどうやって仲良くなっていくかだ。
今日のように気兼ねなく話せるような状況ならいいが、なかなかそうはいかないだろう。
しかも、そういう時の話題というのは以外にないものだし、僕自身そんな簡単に話せるほど会話スキルがない。
そうなると、一番良い方法は相手の話に乗っかるか、相手の情報を集めることだ。
(有森さんのことをもっと聞きたいけど露骨に訊くとルリ姉に勘づかれるしなぁ……。明日、誠太郎にでも訊いてみるか……。)

++++++++++++++++++++++++++++++++++

翌日
昨日考えたように早速、誠太郎に聞いてみることにした。
「おい、誠太郎。」
「あ?何だ、何か用か?」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど……。」
「どうぞ、何なりと。」
「3年に有森瞳美って美人の先輩いるだろ?その人のことなんだけど……。」
「恋人にしたい女子生徒No.1の有森瞳美様だな。」
「瞳美様?」
「誰もが羨む美貌を持ちながら、まるで飾らぬ気さくな性格。気立てよし、成績よし、運動神経よし、家柄よし。そして何より、殺伐とした学校生活を癒すあの笑顔……。陰で恋焦がれる男は数知れぬが美人の宿命、なかなか言い寄る男が現れない……。」
「さすがに詳しいな。」
「しかーしっ!俺から言えることはたった1つ。」
「な、何だよ……。」
「彼女は最高の被写体ということだ。」
「…なるほど。」
「じゃあな。」
そう言って誠太郎はどこかに行ってしまった。またお目当ての女の子でも漁りに行ったのだろう。
誠太郎のカメラの趣味はともかく、やはりウワサ通り有森さんの評判はスゴいものがあった。
だが、結局僕が誠太郎から聞き出せた情報は僕が知ってるように有森さんの人気が高いということと誠太郎の変態チックな内容だけだった。
(結局、本人と喋ってかないと有森さんの情報は得られないってことか……。何とかこっちからも話せるようなきっかけを作らなきゃ……!)
そう決心したのと同時に僕はクラスの様子の変化に気づいた。
やけにみんな急いでいるし、もうすぐ次の授業だっていうのに教室にいる人数も少ない。それに体操服姿である。
(あっ…!しまった、次の授業は体育だった!ヤバい、僕も急がなきゃ!)
慌てて制服を脱ぎ、体操服に着替えた僕はダッシュで体育館に向かった。

体育館に着くと入り口の当たりに人だかりが出来ていた。
「よしっ!間に合ったみたいだな。でも、何か変だな……。」
息も絶え絶えだった僕は膝に手をつけて息を整える。
まだハァハァと荒い息をしながらも体育館の様子を見てみるとまだどこかのクラスが授業をやっているようだった。
(どこのクラスだ?…ん?あれってもしかして……。)
その中にどこかで見覚えのある姿を見つけた。
セミロングで艶のある黒髪の女の子。その子が味方に上げられたトスをスパイクしようとしていた。
「それっ!」
(有森さん……!)
有森さんが打ったスパイクは綺麗に相手のコートに収まっていった。
チームメイトの女の子と手を合わせて喜ぶ有森さん。
そんな姿を見ていると普段学校のマドンナと言われ、落ち着いた大人の雰囲気を持っている有森さんも自分たちとそう変わらない年頃の女の子に見えた。
「………。」
そんな有森さんに微笑ましい気持ちになりながらも、思わず見とれてしまっていた。
それにしても美人だけあって何を着てもよく似合う。ウチの学校の女子の体操着は白と黒のシンプルな物と黒のブルマなのだが、有森さんの黒髪とよく映える。
「おい、森崎なにボケッとしてんだ?早くしないと授業始まっちまうぜ。」
そんな誠太郎の言葉に現実に引き戻された。
「えっ?ああ、そうだな。行こう。」
気がつくと体育館の中には既に有森さんの姿は見当たらず、代わりにクラスのみんなと先生が準備をしている様子だけだった。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

放課後
昼休みに食堂でルリ姉と会った時に「今日、部活だから買い物行っといて~!」と毎度のお約束の如く、我が家の家事を押しつけられてしまった。
昨日、あれほど今日は買い物に行けと言ったのにあの姉は……。
そんなわけで僕は商店街に来ていた。誠太郎は部活のミーティングと言っていたが、大方次のターゲットの選定だろう。
自分の周りにはもっとマシな人間はいないのだろうかとため息をつきながら野菜やら肉が入った買い物袋を持ち直した。
そんなことを考えながら歩いていると肩を後ろからトントンと叩かれた。振り返るとそこには久夏高校のマドンナが立っていた。
「有森さん!」
「こんにちは、森崎君。今帰り?」
「ああ、はい。実はルリ姉から買い物頼まれちゃって。今日は本当はルリ姉の当番なのに……。」
「ふふっ、そうなんだ。ご苦労様。」
そう言って有森さんはニコッと笑った。相変わらず素敵な笑顔だ。
この笑顔が見れたと思えば今日、ぐーたらな姉に買い物を押しつけられた徒労などキレイさっぱり消えてしまいそうだった。
有森さんも学校の帰りなのか制服姿だが初めて会った時とは違う、鞄とは別に黒いケースを持っていた。
「どうしたんですか、それ?」
「ああ、これ?バイオリンよ。」
「え?バイオリン?有森さんって弾けるんですか?」
「ええ、弾けるわよ。小さい頃から習ってるから。」
「へぇ、そうなんですか。」
小さい頃からバイオリン。誠太郎が家柄もいいと言っていたが、普段纏ってる雰囲気といい、まさにお嬢様って感じである。
「お父さんが、私にどうしてもバイオリンを習わせたかったみたい。厳しい先生だから最初は嫌だったけど今では先生とお父さんに感謝してるわ。」
「なるほど。」
バイオリンを習わせるぐらいだし、やはりスゴい父親なのだろう。ありがちなイメージだと厳格な性格で風呂上がりにバスローブを着て、ワインを飲んでる感じだろうか?
「機会があったら、ぜひ聴かせてください。」
「ええ、いいわよ。」
「これから練習なんですか?」
「ええ、そうよ。」
「じゃあ、がんばってください。」
「うん。森崎君も気をつけて帰ってね。」
「ありがとうございます。それじゃ。」
「うん、またね。」

有森さんと別れた僕は何とも言えない幸福館に包まれていた。
何気ない会話だったけど、有森さんの一部分を知れたことは素直に嬉しかった。
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://monokakilab.blog118.fc2.com/tb.php/30-83cddb31
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。